飛騨高山の山間にある家具工房 雉子舎。
雉子舎では、木が自然のなかで活きる過程で生み出した天然のデザインである、木目や色味、節など、木の個性を活かした家具づくりをしています。
飛騨地域は日本でも有数の家具の産地。
山に囲まれた盆地ですが、大手から中小企業に個人の作家さんまで、幅広く家具づくりや木工が盛んです。
(雉子舎は、飛騨木工連合会に所属し「飛騨の家具Ⓡ」、「国産家具」を名乗れる基準を満たした認定企業です。)
少し前のお話しになりますが、お客様からご連絡があり、ブックマッチテーブルの天板をメンテナンスしたのでご紹介します。
クリの天板 メンテナンス
上の写真はメンテナンス前のものです。
クリ材のスリットブックマッチテーブルⓇW1800の天板で、全体に白くムラが出来ているのが分かります。
実は、ご家族が間違えて強力な洗浄剤で拭いてしまったとのことでご連絡をいただきました。
かなりショックで落ち込まれていて、経年変化から日常の一部になっていたテーブルだと分かるため、気持ちがとても伝わってきました。
雉子舎では、自社製品のメンテンナスを受け付けています。
”飛騨の家具Ⓡ”として家具には10年保証がついていますが、今回の件は保証の対象外となるため、有償でのメンテナンスとなりました。
クリは”タンニン”を含む木のため、鉄分やアルカリ成分を含んだ水分と反応して変色することがあります。
成分が反応して変化してしまうため、ただ拭くだけでは落とすことが出来ません。
ただ、そういった反応をしてしまった場合でも、表面を削って変色した箇所を落としてきれいにすることが出来ます。
勿論小さい範囲であればご自身でメンテンナスすることも可能です。
ですが、今回はほぼ全面に渡るため、表面の変色した分を均一に削って再度仕上げることになりました。
メンテナンス前後
Before
After
耳部分にあったささくれも、今回のメンテナンスできれいにしました。
どの箇所にあったのか、すっかり分からないくらいに。
Before
After
写真の撮り方が同じでないため分かり辛いですが、まだらだった表面がきれいになり、元の木目が分かるようになりました。
今回は通常のオイル仕上げから、ポアオイル仕上げに変更となっています。
”仕上げ”の選択肢について
雉子舎での仕上げは基本はオイル仕上げです。
ですが、「なかなか自身でメンテナンスが出来ない」、「水拭きを毎日したい」という方もいらっしゃいます。
そういった方は、「合成樹脂の水に強いところ」と、「表面に膜を作らず浸透するため木の手触りが活きる」、”ポアオイル”仕上げとの相性が良いです。
ポアオイルはウレタン樹脂を含んだオイルで、通常のオイルよりも耐水性があります。
そのため、水にちょっとくらい濡れただけでは染みができないので、普段から水拭きをしていただけます。
デメリットとしては、仕上げ後には重ね塗りが出来ない事。
ちょっとした凹みや傷のメンテナンスの際にも表面を削って再塗装をします。
またご自宅では取り扱いにくいオイルのため、部分メンテナンスでも弊社にお送りいただくことになります。
メリット、デメリットを知ったうえで、ライフスタイルに合った仕上げをご検討いただければと思います。
ちょっとしたことなら、自身でちょこちょこ手を入れることが出来ますが、広範囲となるとご自宅でのメンテナンスは難しいのも確か。
使うなかで生まれる傷や染みも思い出の一つ。
積み重ねた時間と記憶そのものであったりします。
そのため、全面を削ることはお客様からのご希望でない限りは行いませんが、
こうしてダメージを負った表面を削り、きれいに出来るのは無垢材だからこそ出来る修理です。
補償対象外の内容であっても、弊社でご購入いただきました製品であれば、有償にてメンテナンスを承っています。
気になる方は、CONTACTフォーム からどうぞ。
ご自身で行うメンナンスについて
12月ということで、年末に向けて大掃除をされるなかで、大掃除のタイミングで無垢のテーブルをメンテナンスされる方も多いのではないでしょうか。
今回の件は、強力な油落とし用の洗剤を使ってしまわれたため、変色した事例となります。
樹種によって、アルカリに弱いもの、酸に弱い等の違いもあり、成分の濃度でも変色の度合いは異なります。
複数の人で囲むダイニングテーブルは様々な汚れができやすいのも事実。
雉子舎の製品は基本的にはオイル仕上げです。
クエン酸や重曹をお掃除に使われる方も多いですが、
変色の原因になる可能性もあるため、「汚れを落としたい」と思った際には、まずぬるま湯で固く絞った布巾で拭いてみてください。
水分による輪染みだけならこの段階で落とせたりします。
それで落ちない場合には、油分を含む汚れの可能性があります。
台所用洗剤(中性のもの)を200 倍程度(1L に対して5cc ほど)に薄めたぬるま湯で、固く絞った布巾で拭いてみてください。
拭いた面を自然乾燥させ、オイルを塗っていただければメンテンナス完了です。
落ちない場合は変色の可能性があるため、より強力な汚れや色素沈着、もしくは木部の変色当の可能性があります。
その場合は、”染み”の落とし方として以下のページを参考に落としてみてください。
メンテナンス直後は、削って出てきたきれいな面と経年変化をした他の部分の色味が異なりますが、徐々に馴染んでいきます。
削る際にぼかすように周りを削るとより馴染みやすいです。
確かに水に弱く、水染みができやすい短所もありますが、自身でメンテナンスがしやすいのも魅力の一つです。
無垢の木のメンテナンスも、楽しんでお使いいただけましたら幸いです。